Charlotte Weekly 1997.04.06.号 通巻 第36号

ビジネスマン?いいえビジネスパーソン

今週は、仕事をする人たちに関して最近の実態をご報告します。

−男女平等の浸透−
男女平等という点で、米国の会社を見てみましょう。仕事に関しては、男女は 機会平等が与えられます。そして、日本との大きな差は、仕事に直接関係しない 補助作業が、とても少ない点ではないかと思います。会社には、事務処理をして くれる、秘書役の女性もいますが、あくまでも、仕事に関する補助であり、 例えば、女性によるお茶汲みという仕事は、社員に対してはありません。 社員は、どんなに会社で偉い人でも、喉が渇けば自分の飲みたいものを、自分で 飲みます。

そして、日本では「ビジネスマン」という表現は、米国では単に、男性会社員 しか指しません。会社で働く人という意味では「ビジネスパーソン」という表現 が男女平等をふまえた、「平等な」言い方になります。

−社員の服装−
社員の、服装はどうでしょうか。最近は、西海岸からの影響でしょうか、仕事 をする時でもカジュアルな服装でないと「創造的でない」イメージが浸透して きています。IBMがカジュアルな服装に変えてから、急速に業績が伸びた事など (本当にそれが業績回復の一つの要素かどうかは証明できませんが)が背景と なって、米国東部の会社でも、多くの会社が、カジュアルな服装をする事を、 毎日の勤務で認めています。実際、カジュアルな服装といっても、内容は細かく 規定されています。例えば、Gパンは週末だけとか、ショートパンツは禁止とか です。日本では、週末カジュアルというのが浸透してきているようですが、米国 の多くの会社は、エブリデーカジュアルになりつつあります。もちろん、お客に 会うセールスパーソンや、お堅い会社の社員は今でも、スーツを着用しています し、ニューヨークのマンハッタンを歩いているビジネスパーソンは、大部分が きちっとしたスーツを着用しています。

スーツは、基本的に紺色か灰色が大部分で、時折茶色が見られるくらいです。 日本の服装メーカーのカテゴリーでは「ドブネズミルック」という事になります が、多くの人に受け入れられる、安全で、認知された色なので、今でも着用され ているのでしょう。

−勤務時間−
今日から、米国ではサマータイムが始まりました。家中の時計の針を一時間進め るのはなかなか、大変な作業になるのですが、その効用を考えてみたいと思いま す。まず勤務時間を考えてみます。

大都会の会社は、一般に9-17時が勤務時間です。しかし、社員の人は残業する よりは、早出をするほうを好みます。ですから、早朝は7時からでも仕事をする 人もいます。そして、仕事を片づけると、割と早く家に帰ります。
ですから、道路の通勤ラッシュは朝は7時前から、夕方は4時頃から始まります。 そして、家族のいろいろな事情による勤務時間の変更は、上司に相談すれば、 フレキシブルに対応してくれます。極端な例では、自分の家の芝生が伸びすぎた から、早退して芝刈りをしたいというのも、立派な公共活動とみなされます。

その意味では、その人のやりたい事に関しては、詮索したり、干渉したりせずに 「相手の善意を信じる」態度で、対応しているように見えます。
このようなサポートは、核家族や共働きの生活を支えて行く上で、些細なように みえますが「本質的に重要な」要素だと思います。
突き詰めて行くと、米国の会社あるいは組織は「相互サービス」という観点から 捉えると、理解しやすいのではないかと思えるようになりました。相手の欲する 事をしてあげる事が、サービスであり、「自分」だけでなく常に「相手」を考え て、できる事をする事がごく普通に行われています。
それは、実はごく普通に、困っている人には手をさしのべる、自分のできる事を 相手にしてあげる等です。これが、日常的に行われていることが、米国社会の 一つの特色だと思います。

−仕事の縄張りと情報−
それから、米国の社会システムの優れているのは、仕事を引き渡す際の動きが、 割とスムーズである事でしょうか。サービス業務などが顧客クレームなどを たらい回しは時々耳にしますが、仕事の中を見ていると、あるところから先に 引き渡すのは、実にスムーズにできています。ただし、それが金曜日の夕方とか、 「渡す側」の都合のいい時が多いようですが、それでも、「お互い様」と、 引き受ける側も、文句も言わずに、引き受けています。宅急便はこちらにも ありますが、前日6時までならば、翌日午前中に届くというサービスを、競い 合っています。これも、システムの処理の速さに依存していると思います。 この中で、データが「システム」として動くように受け渡しされ、それをどし どし、コンピューター化してゆくことが、大きな動きを、迅速に行わせる背景に あります。これでもって、世界の情報から、自分達の動きを「迅速」に決める事 ができるのだと思います。もちろん、判断の善し悪しではなく、インフラの ある無しの議論なのですが、インフラが無いと判断ができないような事も、最近 は多くなっているような気がします。インターネットが万能ではないのですが、 もはや、インターネットは常識であるというところから、始まる状況だと思いま す。日本も、自国語だけでない、英語の情報から、自分で考える時代へと来て いるのではないかと考えるこのごろです。


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